328 Later talk. Honeymoon? Total war
「……えっ? ど、どうして……えっ?」
俺の顔を見て、物凄く驚いた表情をするアルベリー。だけど、俺の顔を見ているうちに、みるみると目に涙を溜めて行く。
「お、おいっ、どうしたんだよ?」
「ご、ごめんなさい。不安だったところに、レイ様が来てくださったら安心してしまって……でも、どうして?」
「お前が呼んだんだろ? そのネックレスで。それで跳んで来て見たら、とんでも無い事になっているしさ」
俺の言葉にアルベリーは胸元に輝くネックレスを見る。そして、顔を上げると、申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「そうでしたね。このネックレスにはそんな力があったんでした。でも、せっかく来ていただいたのですが、帰って下さい」
先ほどまでの表情とは違い、女王として堂々とした姿で、拒絶の言葉を述べてくるアルベリー。まあ、そう言う理由はわかっているから、俺は苦笑いをするしか無いのだけど。
その俺の顔を見て、眉を寄せるアルベリー。少し怒っている雰囲気もある。
「……どうして笑っているのですか? 今がどういう状況かわかっているのですか?」
「当たり前だろ? この国に大量のコクシが迫っている。そこに来た俺を逃がそうと、アルベリーは悪役をやっているって事ぐらい」
俺が言うと、顔を真っ赤にさせるアルベリー。そして再び涙目になってしまう。コロコロと表情が変わって面白いなー。
「わ、わかっているなら早く逃げて下さい! この国、この大陸はもう終わりです。私は女王として最後まで戦いますが、レイ様は関係がありません。それなのに巻き込むわけにはいきません!」
アルベリーは俯きながら「だから、帰って……」と呟く。コクシたちは既に残り数キロの距離まで迫っていた。だけど
「アルベリーの言う事は全て却下だ。言っただろ? 助けを呼べば、絶対に助けに来るって。それなのに逃げられるかよ。『風天ノ豪壁』」
俺はレベル9の風魔法を発動する。するとジャパウォーネ王国を丸々と巨大な風の壁が囲っていく。それに触れたコクシたちは、風に切り裂かれていく。
ただ、範囲をかなり広げたせいで、あまり長くは持たない。その間に準備をしなければ。
「アルベリー、俺がお前を助けてやる。いや、俺たちが。だから、一緒に戦うぞ。俺だけ帰れなんて悲しい事を言うなよ。な?」
頭を撫でながら言うと、アルベリーはこくんと頷きそして
「た……すけ……て……下さい!」
と、はっきりと言った。俺はその瞬間、転移を発動。そして続々と現れる俺の最強の妻たち。更に
「ふふ、レイヴェルト様に良いところを見せるチャンスです! お前たち、かっこ悪い真似をしたら訓練3倍だからな!」
「「「はっ!」」」
ペロソネス王国騎士王カレンディーナが率いる王国軍に、
「これはやり甲斐のある相手じゃ無いかい! あんたたち! ここで活躍したら、もしかしたらエアリス様に抱いてくれるかもしれないよ! 死ぬ気で頑張りな!」
「「「おおおおっっ!」」」
アルフレイド帝国女王兼傭兵団長のミレスが率いる女傭兵団が
「あわわわっ、は、初めてのた、戦いですぅ! し、シルアは大丈夫ですか?」
「グルゥア!」
「そう緊張する事はない。私たちがサポートしてやるから、クレアは落ち着いて戦え。お前たち、最近運動不足の竜たちに運動をさせてやれ!」
「「「おうっ!」」」
「「「ガラァァアアアア!」」」
レイブン王国王太子ケイネスが率いる竜騎士団に少し緊張しているクレア。みんなが、助けるために頼んだらやって来てくれた。
「こ、これは……」
「みんな、この国を助けてくれるってさ。数少ない仲間を見捨てる事は出来ないと。ほら」
俺はアイテムリングから蒼く輝く細剣を取り出す。他の神器は既にみんなに渡している。
アルベリーは細剣を震えながら受け取ると、涙で濡れていた目を拭う。そして、女王の風格を見せながら、
「戦いましょう! レイ様!」
と、コクシの方を見る。さてと、俺もやろうかね。そう思った時に隣に完全武装のアステルがやって来た。
「レイさん、先ほどクリーナから連絡が来まして、この大陸にシェードの眷属が全員揃っているそうです」
「だから、この数なのか?」
俺の言葉に頷くアステル。それならこれも納得だ。向こうも全勢力をここにつぎ込んで来たのだ。確実に1つの大陸を終わらせるために。
だけど、それなら、俺たちがここで勝てば、この戦いも終わりだ。俺たちも元の世界に帰るってわけだな。余計にやる気が出て来たぞ。
「みんな、ここで勝てば終わりだ。絶対に勝つぞ!」
「「「おおっ〜!!!」」」
ここにいるのはアレクシア、キャロ、エアリス、フィーリア、香奈、ハク、マーリン、エクラ、アステルだ。
フェリス、ヘレン、麻里、プリシア、クロナ、ミルアはカレンディーナのところで、留守番だ。アレンやエレネの事を見守ってくれている。
「雷装天衣!」
ここで勝ってみんなで帰るぞ!