341 Continent Clash: The End of Everyday Life




「……久し振りだねぇ、みんな」

「そうだな。稀に見る顔もあるが、お前を見るのは何年振りだ、アステル?」

「そうですねー、400年振りくらいでしょうか。色々あってここに戻って来るのが遅くなってしまいました」

 久し振りに神域にやって来られた私を見て、他の神たちが私を見てきます。魔神バロンをレイさんに倒して貰ってから7年経ちましたが、ようやくここまで力が戻る事が出来ました。これも、私の側にいてくれたレイさんのお陰ですね。

 今この神域には私含めて7柱の神がいます。この7柱というのは私やレイさんたちが住んでいる世界の中で、別の大陸を治める神たちの数になります。

 私たちの世界は他の世界に比べてかなり大きい部類に入ります。クリーナの世界は、彼女1柱で全て任されていますが、私たちの世界は大陸1つに1柱の神が任されるように配置されています。

 今私たちが集まっているのは、私たちの世界の神域のようなものですね。しかし、何故皆集まるように呼ばれたのでしょうか?

「ねー、どうして私たちを集めたのよ? わざわざ集めたんだから何かあるんでしょ? ギーラ?」

「そうだね、折角集まって貰ったから話でもと思ったけど、そろそろ話せとイライラしている者もいるから話そうか」

「いいからさっさと話せよ。こっちは遊んでいる途中で呼び出されたんだからよぉ。イライラしたんだよ」

「ウラス、君も楽しめるものだよ。僕はね、自分たちの大陸の子たちで遊びをしたいなぁと考えてね」

「……遊びだと?」

「うん、この世界は7柱の神によってそれぞれの大陸を管理しているけど、少しは思った事はないかい? 他の大陸の子たちより自分の大陸の子たちの方が優れている、なんて事は。僕はあるよ。それも何度もね。そう思ったら我慢出来なくなってさー」

 ギーラはそう言いながら私たちを見渡します。そして

「やろうよ、どの大陸の子たちが一番優れているか決める戦いを」

 ◇◇◇

「ほら、行くぞー、エレネー!」

「来てー、パパー!」

 楽しい休日のひと時。俺は可愛くて愛らしい愛娘、エレネと遊んでいた。俺とエレネはかなり距離を開けて向かい合い、手に子供用の模擬剣を持つエレネに向かって水の球を放つ。

 グネグネと動かしながら放たれた水の球を、エレネはキラキラとした瞳で見ながら、模擬剣に魔力を流して飛んで来た水の球を切る。

 いやー、我が娘ながら中々の太刀筋。母親であるエアリスもこの時期には剣を振っていたが、8歳のエレネは剣以外の武器も扱えるからな。これが才能の差か。俺にはなかったやつだ。

「あはははっ! 楽しー!」

 次々と撃って行く俺の魔法を楽しげに次々と切って行く。俺も楽しくなってきて、数を増やし過ぎたりして楽しく訓練をした。まあ、それを見ていたエアリスに怒られてしまったが。

「もう、レイったら。直ぐに調子にのるんだから。いくらエレネが才能豊かで対応してくれるからってまだ8歳なんだから、あまり無茶させないでよね」

「はは、わかっているよ、エアリス。まあ、俺が8歳の時はエアリスに木剣で頭を叩かれていたけどな。なあ、クロナ」

「ふふっ、そうですね、レイ様。そのせいで、何度レイ様が気を失ったことか」

 俺の専属侍女兼妻のクロナも手で口元を隠しながら微笑む。あの時はクロナとフィーリアがよく飲み物や拭くタオルを持ってきてくれた物だ。懐かしい。

「も、もう、そんな昔の事忘れたわよ!」

 恥ずかしげにそっぽを向くエアリス。可愛いなぁー。そんなエアリスを見てニヤニヤとしていると

「あっ、レイ君、こんなところにいたんだ」

 と、前から香奈と麻里が歩いて来た。麻里は今年で5歳になる娘の麻耶と手を繋ぎ、香奈は今年3歳になる男の隼人(しゅんと)を抱いて歩いていた。

 2人ともどうしても日本の名前を使いたいと言うので自由にさせたら、麻里は普通に良い名前で良いのだけど、問題は香奈だった。しゅんとと聞くだけだったらおっ、良い名前だ! ってなるのだが、日本にちなんでなら漢字は? って聞いたら、まさかの隼人だったという。

 俺の前世の漢字と全く同じだったため、流石にそれはどうかなぁ? と尋ねたのだが、香奈はどうしても俺の名前を使いたかったらしい。何度言っても、わかるのは転移組だけで、ステータスなどはカタカナになるから大丈夫と言うので、渋々ではあるが認める事にした。

 しゅんとと言う名前は、良い名前である事は間違いないしな。俺が気にしなければ良いだけの話だからな。

「おとうしゃま!」

「おう、麻耶、今日も元気だなぁー!」

 俺の足にガチッと抱き着く麻耶。俺の足にすりすりとする麻耶可愛い。そんな俺と麻耶を見て手を伸ばしてくる隼人。隼人を香奈から受け取り高い高いをしてあげると手を伸ばして喜んでくれる。そして、麻耶も麻耶もー! と、足下でぴょんぴょんする麻耶。2人とも本当に可愛いな。当然麻耶も高い高いしてやるぞー!

 エアリスにクロナ、香奈に麻耶、そして周りにいる兵士や侍女たちが、俺と麻耶や隼人との親子のスキンシップを温かい目で見ているところに、パタパタとエクラが飛んで来た。

 エクラは俺の前まで来るとそこで宙返りをして人化する。目の前に白金色の髪の美女が降り立つ。陽の光でキラキラと輝いているぞ。

「レイ、アステルが帰って来た」

「おっ、そうか。突然神域に呼び出されたって言っていたから特に事情も聞けずに見送ってしまっていたからな。心配だったんだよ。今から会いに行くとするか。帰って来て何か言っていたか?」

「何も言っていなかった。でも、少し深刻そうな表情はしていたわ。それで、アレクシアたちも呼んでいたし」

 ……ふむ。公務中のアレクシアたちを呼ぶって事は結構問題になるような事が起きたのか。

「わかった。俺も直ぐに向かうよ。麻耶〜、隼人〜、ごめんなー、お父さん、仕事に行かないと行けなくなってしまったんだ」

 俺の言葉にぶーぶー言う麻耶と隼人だが、駄々をこねる事なく麻耶と香奈の下に戻ってくれる。本当に俺とは違って賢い子たちだよ。最後に2人の頭を撫でてから俺たちは王宮に戻る。さて、何が起きたのかね。厄介ごとじゃなければ……まあ、無理だろうなぁ。